研究内容

プロジェクト内の研究開発テーマ構成

未知未踏領域における拠点建築のための
集団共有知識をもつ進化型ロボット群

1

進化型ネットワーク知能システム

ロボットが集団で知能を共有し、環境に応じた戦略的行動を可能にするシステムを開発します。このシステムにより、ロボット群は自律的に意思決定を行い、未知の環境に対して柔軟かつ効率的に対応することが可能となります。ネットワーク知能は、ロボット同士が互いに情報を交換し、環境に応じた最適な行動を取るための重要な基盤となります。

1-1
進化型群ロボットの行動制御と
ネットワーク知能の搭載設計

環境情報と個体の行動の記録や個体の位置制御などを行わずに、低機能な個体ロボットが自律的に群を形成する手法を検討します。空間や作業などに適切な群サイズと行動等を自律的に決定し、行動パターン変化や跳躍移動などで未知環境に対する空間探査能力や狭小空間通過能力を向上させます。
物理的に存在する実マーカ、それが複数集まり作り出される仮想マーカを移動させることで実現する、個体、単群、複数群の誘導方式および群間協調行動の誘導法を検討します。

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1-2
群収集情報の解析による
進化型ネットワーク知能の制御

個体ロボットや群が取得する計測データや活動データを管理し、それらの解析からロボットや環境などの状態を理解できる「ネットワーク知能」を開発を進め、解析機能およびデータベース機能を構築します。
未知領域の探査では各個体ロボットと群の存在位置情報は誤差を含んだあいまいな情報です。そこで、座標情報ではなく観測地の繋がり情報を幾何学的に扱う空間情報管理手法を設計していき、群行動などで異常や危険認識などに活用できる知能化を実現します。

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1-3
進化共進化をともなう
自立分散型ネットワークの知能の設計と実現1

事前に環境情報が得られない月の溶岩チューブ内での探査・調査・コンテナ搬送などを実現するために、マルチエージェント強化学習などのAI技術を用いて、自律的に個体および群の役割と行動を決定する「ネットワーク知能」とその必要機能を設計していきます。
これらが難環境に対応するため、電力量、通信距離、非同期状態での行動などを考慮し、個体の性能差、経年変化、破損などにも対応した群の役割分担ができるアルゴリズムとシステムとして設計します。

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2

個体進化および
群共進化機能の実現

ロボット群が進化し続けるメカニズムを構築し、個々のロボットが互いに学び合いながら集団としての能力を向上させる技術を開発します。これにより、ロボットが適応能力を持ち、変化する環境にも対応できるようになります。進化の過程では、ロボットの機能が柔軟に変更され、新たなミッションに対応できるようになります。この技術は、長期的な活動を支えるための鍵となります。

2-1
個体進化および群共進化のため
制御機能の柔軟性向上と高速処理化

ロボットへ搭載する機能の柔軟な拡張と更新のため、機能モジュールを接続し高粒度タスク化する仕組みをハードウェア上で実現するための計算機アーキテクチャを開発します。モジュール接続の追加、組み替えなどで搭載機能を更新可能とし、制御装置上に個体進化機能を実現します。
また、電磁波を用いたロバストな個体間情報通信および情報ネットワーク構築により、進化型制御装置と共に個体ロボットに実装可能な装置として実現を目指します。

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2-2
高処理速度に向けた低消費電力アーキテクチャおよび共有ネットワークを有する
進化型制御装置の設計実現

画像やAIなどのために高度情報処理などが可能な処理速度と消費電力のバランスを考慮した、小型ロボットの制御装置を構成する計算機回路アークテクチャを研究します。
さらにモジュール接続形式のタスク実現に関わるデータ処理・管理機能のハードウェア上での実現方法を設計し、制御装置を研究開発します。そして、小型ロボットの機能モジュールをネットワーク共有可能な、進化型制御装置を実現します。

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2-3
高粒度タスク化のためのデータフロー制御による個体進化・群共進化機能の実現

ロボット個体内および群内で、モジュール間の接続データの制御や接続の変更・追加・削除等のデータフロー制御をソフトウェアやシミュレータ上で検討・設計し、ハードウェア層と統合して進化型制御装置を開発します。
また、個体ロボット、群、「ネットワーク知能」の各機能や共有データの管理運用ソフトウェア環境に、AI技術、ヒューマンインタフェース技術、GUIなどによる支援機能を実現し、将来的に出現する月面情報空間では「ネットワーク知能」での活用も検討します。

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2-4
個体間ネットワークを介したモジュール共有
および接続機構の実現

通信遅延や情報欠落が生じる未知環境での機能モジュールの接続および動作情報の非同期状態などへ対応できるように、ネットワーク上でのデータ管理機構およびデータフローの制御機能を開発し、共有ネットワーク上に「ネットワーク知能」を搭載するための基盤技術を確立します。
そして、ロボット個体および群の相互間の物理的な距離、ネットワーク強度、通信状況などを考慮した各個体への動的なモジュール割り付けとそのロバスト化を実現します。

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3

ネットワーク知能
RTプラットフォーム

ロボット群の移動と作業を支援するための基盤技術を開発します。このプラットフォームは、ロボットが協力して動作するための強力な基盤を提供し、さまざまな環境での作業を可能にします。RTプラットフォームは、ロボット群が高度な作業を遂行するために必要なインフラストラクチャーを提供し、複雑な環境でも安定した活動を実現します。

3-1
探査・輸送・建築機能を有する
RTプラットフォームの統合実現

小型作業ロボットが、月の溶岩チューブ内部で探査、調査、搬送作業ができるように、輸送コンテナとの作業連携や協働の機能などを研究開発します。
このコンテナには、拠点や通信・電力中継などのペイロードを格納展開し、それを各種機能を設置する機能、ロボット群の格納と落下投入の機能、ロボット群に対して情報または物理的な移動の支援を可能にする協働機能を持たせます。そして、ロボット自身の持つ各種装置を統合したシステムとして開発します。

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3-2
小型RT跳躍機構の設計と搭載実現

開発する小型軽量なロボットは環境等とのスケール比でみると相対的に不整地移動能力が低下しています。これを補うため、小型ロボットに搭載可能な跳躍機構を、消費エネルギー、テラメカニクスからの効果などを考慮した研究開発を通じて機械システムとして実現します。
さらに、ロボットをコンテナへ格納展開する方式、エアバック等を利用したコンテナおよびロボットの現地への投入機能なども研究開発していきます。

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3-3
小型RT表面移動機構の設計と搭載実現

月面の溶岩チューブで想定される不整地地形において活動する小型ロボットに搭載可能な表面移動メカニズムを、テラメカニクスの観点、消費電力、搭載容積・重量などを考慮して研究開発していきます。
これを小型ロボットに実装していき、群協調型コンテナへのロボットの格納展開方式や、月面への投入機能なども研究開発し、月探査ミッションのためのロボット機体を開発します。

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4

月溶岩チューブ探査ミッション
および探査システム

ロボット群の移動と作業を支援するための基盤技術を開発します。このプラットフォームは、ロボットが協力して動作するための強力な基盤を提供し、さまざまな環境での作業を可能にします。RTプラットフォームは、ロボット群が高度な作業を遂行するために必要なインフラストラクチャーを提供し、複雑な環境でも安定した活動を実現します。

4-1
探査計画に基づく
月面環境対応小型探査ロボットの実現

月ミッション計画に沿って探査システムの仕様を決め、そのシステムの設計および宇宙環境試験等を実施し、月面ミッションで使用可能な探査システムを実現します。
探査システムは、投入カプセル(コンテナ)と、その内部に格納した小型探査ロボットから構成され、このカプセルごと着陸機へ搭載します。月面に投入されたカプセルは溶岩ドーム内で展開し、ロボットを放出した後は外部との通信中継のステーションなどの機能を担うことになります。

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